社会保険労務士とは?活かせる仕事、試験制度、合格率や難易度について解説

スキルアップ資格編

社会保険労務士とは

社会保険労務士とは、企業の労務管理・社会保険制度・給与計算等を専門とする、人事労務のスペシャリストです。企業の重要なリソースは、「人」・「モノ」・「金」・「情報」で成り立ちますが、社会保険労務士は、「人」に関するリソース管理を得意分野としております。企業が存在する限り従業員は必ず存在し、「人」というリソース管理業務は企業内で必ず発生します。AI等、テクノロジーの発展により、人が行っている仕事の大部分がデジタルに置き換わることで、社会保険労務士自体も不要になるのでは?と懸念される方もいるかもしれません。しかし、中小企業が会社全体の99%を占める現代の日本おいて、少なくとも生きている間に人の労働がなくなることは考えにくいですし、働き方改革やリモートワーク等、自由な労働への需要が高まる昨今において、労働管理は企業が抱える重大な悩みの一つです。今後、社会保険労務士の知識へのニーズはさらに高まり、企業内勤務・労務コンサルティング・独立等、活躍できるフィールドが非常に広い資格です。

社会保険労務士の活かせる仕事

社会保険労務士の資格を活かせるフィールドは主に次のようなものがあります。
それは、企業の人事労務部門・社労士事務所勤務・人事労務コンサルティング・独立です。

企業の人事労務部

社会保険労務士の有資格者として、企業内の人事労務部に所属します。
主に、給与計算、社会保険手続き(健康保険、厚生年金手続き等)、従業員相談、就業規則の改定等の業務に従事します。業務内容自体は資格を有さない人事労務担当者と変わらない点が多いですが、スキルや知識を持っているか否かという点では大きな差があり、企業内で頼られる人材となったり、管理職等より責任がありやりがいのある立場で仕事ができる可能性が広がります。

社会保険労務士事務所

社労士事務所というプロフェッショナル集団の中で、顧客となる企業の給与計算、社会保険手続き等の代行業務や、企業からの相談対応等を行います。この時は、プロフェッショナルとして顧客となる企業に接することになるので、より高い質で業務をこなす必要があり、企業が抱える悩みに対して的確な答えを提供する必要があります。顧客から信頼される専門家になるよう、日々スキルの研磨がより重要になり、プロとして活躍したい方にはおすすめのキャリアです。

人事労務コンサルティング

社会保険労務士のスキルを活かした人事労務コンサルティング業務もこの資格の魅力の一つです。
近年ではリモートワークの導入やフレックスタイム制の導入など、自由な働き方を実現するために新しい労働形態を設計する企業も多く、制度設計の整備に当たって、スキルを持った社会保険労務士がコンサルタントとして提案業務や実行支援を行うケースがあります。
また、就業規則の改定、従業員の労働問題、労働環境構築、賃金制度の構築、M&A(企業買収等)時の対応等、知識を活かしたコンサルティング業務は、世の中に多くのニーズが存在します。
なお、人事労務コンサルティング業務は、コンサルティング会社、社会保険労務士事務所、独立したフリーランスとして行うなど、提供方法は様々です。

独立

フリーランスや自分の社会保険労務士事務所を構えて独立するケースもあります。
大手企業を顧客として収入を得るのは少し難しいですが、全国にはたくさんの中小企業が存在します。労務管理、給与計算業務、社会保険手続きなど、社内のリソースだけでは足りず、専門家の手を借りたい企業は多いです。顧問社労士、コンサルティング契約等、自身のやりたい業務に合わせて収入の取り方も決めることができます。

社会保険労務士の試験制度・合格率・難易度など

試験制度の概要について

受験資格以下3つの要件のうち、いずれか一つを満たす必要がある。
申込み時には、受験資格を有することを明らかにすることができる書面『受験資格証明書』が必要。
①学歴:大学、短大、高専等卒業など。
②実務経験:社会保険労務士、弁護士の補助業務経験通算3年以上など                 
③厚生労働大臣の認めた国家試験合格:司法試験予備試験、行政書士試験など

※詳細は社会保険労務士試験オフィシャルサイト【受験資格について】参照https://www.sharosi-siken.or.jp/exam/                    
試験日例年8月の第4日曜日(年1回)
受験料15,000円
試験形式マークシート方式
合格基準点   合格点は毎年変動するが、およそ次の①②をいずれもクリアすると合格となる。
①選択式:25~26点/40点 かつ 各科目3点以上(救済措置による変動あり)
②択一式:44~45点/70点 かつ 各科目4点以上(救済措置による変動あり)

試験科目の内容と配点

        試験科目選択式 計8科目(配点)  択一式 計7科目(配点)   
労働基準法及び労働安全衛生法1問(5点)10問(10点)
労働者災害補償保険法
(労働保険の保険料の徴収等に関する法律を含む)
1問(5点)10問(10点)
雇用保険法
(労働保険の保険料の徴収等に関する法律を含む)
1問(5点)10問(10点)
労務管理その他の労働に関する一般常識1問(5点)10問(10点)
社会保険に関する一般常識1問(5点)
健康保険法1問(5点)10問(10点)
厚生年金保険法1問(5点)10問(10点)
国民年金法1問(5点)10問(10点)
合計8問(40点70問(70点)

過去10年間の合格率の推移

過去10年間の合格率推移は次の通りです。過去10年間の平均合格率は6%程度と、国家資格の中でもかなり低い水準となっています。

   年度(回)受験者数(人)合格者数(人)合格率(%)
令和5年度 (第55回)  42,741   2,720   6.4
令和4年度(第54回)  40,633   2,134   5.3
令和3年度(第53回)  37,306   2,937   7.9
令和2年度(第52回)  34,845   2,237   6.4
令和元年度(第51回)  38,428   2,525   6.6
平成30年度(第50回)  38,427   2,413   6.3
平成29年度(第49回)  38,685   2,613   6.8
平成28年度(第48回)  39,972   1,770   4.4
平成27年度(第47回)  40,712   1,051   2.6
平成26年度(第46回)  44,546   4,156   9.3
  過去10年平均  39,630   2,456   6.2

過去5年間の合格ラインの推移

合否は、選択式及び択一式それぞれの合格ライン得点状況で決定します。選択式及び択一式はそれぞれ独立しており、合算させることはありません。そのため、選択式及び択一式両方とも合格ライン以上の得点が求められます。合格するには、選択式ではおよそ25点~26点程度、択一式ではおよそ44点~45点程度の得点が必要ですが、特徴的なのは、選択式では各科目3点以上、択一式では各科目4点以上のいわゆる足切り要件があり、合計点数を超えても足切り要件未満であれば不合格になります。この足切り要件は、受験者の正答率等を加味して緩和されることがあります(救済措置)。

年度(回数)  選択式 択一式
令和5年度
(第55回)
総得点26点以上、かつ各科目3点以上 45点以上、かつ各科目4点以上
令和4年度
(第54回)
総得点27点以上、かつ各科目3点以上44点以上、かつ各科目4点以上
令和3年度
(第53回)
総得点25点以上、かつ
労務管理その他の労働に関する
一般常識2点以上
・社会保険に関する一般常識2点以上
健康保険法2点以上
その他科目3点以上
45点以上、かつ各科目4点以上
令和2年度
(第52回)
総得点25点以上、かつ
労務管理その他の労働に関する
一般常識2点以上
社会保険に関する一般常識2点以上
健康保険法2点以上
その他科目3点以上
44点以上、かつ各科目4点以上
令和元年度
(第51回)
総得点26点以上、かつ
社会保険に関する一般常識2点以上
その他科目3点以上
44点以上、かつ各科目4点以上

実際の合格難易度や必要な勉強時間は?

難易度:3.5
学習範囲には、見慣れない法令や制度があり学習にはある程度の苦労があります。低い合格率を見ても、難易度はやや難しい分類に該当されます。
しかし、合格率だけを見て難易度を判断するのは短絡的です。合格率の見方を変える必要があります。
注目したいところは、合格率に関係なく、合格ラインはおおむね安定的である点です。
上から5~6%の受験者が合格するのではなく、合格ラインに達した受験者が結果として5~6%に落ち着いているのです。したがって、合格のポイントは、自分が合格ラインの得点を取得できるかどうかです。また、受験者全員が十分に勉強しているわけではなく、大半は社会人が仕事をしながら受験しています。複数年計画で合格を目指している方も多く、合格水準に全く満たない状況で試験当日を迎えている層が大半だと考えてよいです。したがって、難しい試験であることは間違いないですが、合格率を見て諦める必要は全くありません。

そんな社会保険労務士の試験ですが、合格までに必要な時間は800時間~1,000時間程度といわれています。この時間を参考に、合格までのスケジュールや一日の勉強時間の目安を決めるとよいでしょう。
例えば、一日2~3時間の学習であれば約1年程度での合格を狙えるでしょう。

社会保険労務士試験の勉強方法

社労士試験の勉強には専門学校やオンラインスクールを利用するとよいでしょう。
独学だとNGということではないですが、社労士の試験内容には、難解で馴染みのない法令をしっかりと嚙み砕く必要があり、自力で参考書を読んで理解しようとしてもなかなか難しく、遠回りになります。

専門学校やオンラインスクールをすすめる理由
・科目数が多く、試験範囲が広いため、重要度や出題頻度に応じて強弱をつけた勉強が必要
・難解な法令を理解・暗記する必要があり、プロ講師による講義で体系的に基礎を固めることが重要

まとめ

社会保険労務士に合格することで、人事労務のスペシャリストとしての道が開けます。
社会保険労務士試験の合格率は低いですが、合格率で難易度を判断してはいけません。合格ラインは安定しているため、専門学校やオンラインスクールを利用して正しく勉強し、合格ラインに到達することにフォーカスすれば確実に合格できる資格試験です。

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